不惑遊行ー黒い野原
池井昌樹
仕事を終えて
夜も更けて
ひとりっきりで
駅の階段をのぼってくると
まっくろい
野原なのだ
あんまりつかれているんだろうか
かえりたいところも
かえらなければならないことも
かえろうとするぼくじしんさえ
きれいにわすれてゆきそうな
こんなこころを
よろこんでいいのか
かなしんでいいのか
降るような虫の音のなか
やがてはひとりで乗ることになる
終電車の灯を待ちながら
とほうにくれて
出典:階梯日本語雜誌《八月分月刊》
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